株式投資型クラウドファンディングの投資先を選ぶポイント
株式投資型クラウドファンディングにおいて、投資先(プロジェクト)を選ぶポイントです。
- 自分が得意な分野に投資する
- 著名なエンジェル投資家やベンチャーキャピタルが出資しているか?
- マイルストーン(EXITまでの道筋)は信用しすぎない
- Q&Aで代表の考えをチェック
- 一般投資家は一口出資が基本
- 流行りのジャンルは避けておきたい
- 配当金やギフト券を配るようなところは避けておきたい
企業を応援したい!という投資においては特にポイントはありませんので、IPOやM&AなどのEXITを目指す際の、プロジェクトを選ぶポイントを紹介したいと思います。
目次
自分が得意な分野に投資する
ご自身が働いている事業分野や興味を持っている分野の場合、プロジェクト案件に対する理解度は、その事業分野に詳しくない方よりも高くなります。
- プロジェクトを行っている事業に将来性はあるのか?
- 市場規模はありそうか?同業他社は?
- そのサービスを使ってみたいと思えるか?
- プロジェクトでひっかかる部分はあるか?(リスク回避)
逆にいえば、ご自身が詳しくない事業分野に投資をすると、上記の判断がしづらく、投資に対するリスクが高くなります。(バイオベンチャーなど)
ご自身がその事業分野に詳しくなくても、TwitterなどのSNSでは詳しい人がなんらかの情報や投資判断をつぶやいている可能性があります。
こういった方のつぶやきをチェック、またはアプローチして聞いてみるのもひとつの手です。
著名なエンジェル投資家やベンチャーキャピタルが出資しているか?
事業会社やCVC、ベンチャーキャピタル、著名なエンジェル投資家が出資している場合、そのプロジェクトはEXITの見込みが高いかもしれません。
出資元 | 概要 |
---|---|
事業会社/CVC | 事業会社が本業との事業シナジーを目的にスタートアップ企業へ出資 |
ベンチャーキャピタル(VC) | 未上場の企業に投資する投資会社。上場後に株式を売却することで大きな利益を得る |
エンジェル投資家 | EXIT目的や自社の事業とのシナジー効果に期待 |
事業内容の査定能力の高いこれらの出資元が、すでに出資しているようなプロジェクトは、事業の評価が高くEXITの可能性が高いと考えられます。
FUNDINNOでは、アイコンでVCやエンジェル投資家さんの出資情報が可視化されています。

投資家さんや企業家さん同士のつながりがありますので、私たちが知らない重要な情報などを持っている可能性があり、EXITへの期待は高まります。
ただし、VCやエンジェル投資家さんも投資失敗のリスクを背負って投資していますので過信は禁物。
マイルストーン(EXITまでの道筋)は信用しすぎない
各プロジェクトには、募集事業者の成長戦略ともいえるマイルストーンが掲載されています。
マイルストーンとは、EXITまでの道筋のこと。
プロジェクトの進捗度合いを確認する重要なポイント。
こちらのマイルストーン。
各プラットフォームにメールインタビューをさせていただいたところ、実現可能性があるかをチェックされています。
チェックはされていますが、実現可能とはまた別の話。
実際に、第二回・第三回とECFで募集する事業者の進捗状況をみると、第一回目に書かれていたマイルストーン通りに進んでいないことがあります。(売上高が伸びていないなど)
マイルストーンは、あくまでも計画の話。
信じすぎないようにしましょう。
特に、マイルストーンに「IPO」の用語が入っていると、カンタンに案件が成立しているようですが・・・スタートアップ企業がIPOに辿り着くのはそんなに甘くありません!
エンジェル投資でEXITを達成する確率は高くても10%程度、ベンチャービジネス自体の成功率は1%と言われています。
スタートアップ企業のEXITは、数年から10年ほど。
IPOに達する企業より、解散・倒産となってしまう企業の方が多いです。
20XX年にIPOなどという言葉は信用しすぎず、事業内容やその他の環境(エンジェル投資家やVCは参加しているのか?など)をみていきましょう。
二回目以降に価格が伸びていないときは注意
上記で軽く触れましたが、株式投資型クラウドファンディングでは、二回目の募集、三回目の募集をかけている事業者があります。
この場合、下記の点をチェックして投資するか判断しましょう。
- 業績はマイルストーン通りに進んでいるか?
- 募集価格はスケールアップしているか?(同価格なら事業者の価値が伸びていない)
- 二回目以降の募集内容は適切か?
- 募集後の進捗状況はきちんと投資家に伝えているか?
ちなみに、事業資金は事業の進捗ごとに必要となりますので、二回目・三回目と募集するのが悪いワケではありません。
価格がスケールアップしていない場合でも、内容に納得いく説明があれば問題ありません。(コロナ禍や半導体不足など)
株式投資型クラウドファンディングは機密性が高く、なかなかオモテに出資先の情報がでてきませんが、Twitterで事業者名で検索すると、たまに情報がひっかかります。
褒めている、期待している、悲観している・・・と色々なパターンがありますので参考にしましょう。
Q&Aで代表の考えをチェック
プロジェクトページにある、事業の説明内容をみるのは基本ですが、そのページを見た投資家さんからの質問と、代表者の返答が用意されていますので、チェックしておきましょう。
カブスルが見ている限り、鋭い質問が飛んでいます(笑)
厳しい質問に対して、どう返答しているのかを見ることにより、代表者の考え方が分かります。
たまにライブ形式で事業内容を説明したり、質問に答える事業者さんがいますが、恐らく自信がないと臨めないことだと思いますので、出資を検討している場合、そのライブは見ておきたいです。
一般投資家は一口出資が基本
一般投資家は、各プロジェクトに一口ずつ出資(10万円)されるのがオススメです。
理由は2つありますが、1つ目は目移りしやすいこと。
次々と期待のプロジェクトがでてきますが、我々の投資資金には限りがあります(苦笑)
スタートアップ企業のEXITは、数年から10年ほどかかることが多いので、手持ちの資金を集中するのではなく、分散させるのがオススメです。
2つ目は、解散・倒産リスクがあること。
スタートアップ企業はIPOやM&Aに達するより、解散・倒産となってしまう企業の方が多いです。
EXITを達成する確率は高くても10%程度。つまり、10社に出資して1社のEXITに期待。
逆にいえば、10社に出資していたら1社はEXITするかもしれません。
数社に投資していると、数社から事業の状況の連絡がくるので、それらを比較するのも楽しいです。(A社は順調だなぁなど)
流行りのジャンルは避けておきたい
この記事を書いているカブスルは、EXITのひとつである「IPO」を紹介・評価しているWebメディア「庶民のIPO」を運営しています。
IPO(上場)を行う企業の株価は、業績の伸びや事業内容(将来性)、市場のマーケットの状況により、大きく左右されます。
また、年ごとにIPOで人気が高くなる流行りのキーワードがあります。
例えば、IPOにおける2021年の流行りのキーワードは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。
DXとは、進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念のこと。
こちらのDX。2021年に登場した新しいサービスではなく、以前から「事業のIT化」という言葉でサービスを展開されています。
2021年、2022年のIPOではDXという用語をよく見かけましたが、たぶん数年後にはDXはIPOでは見向きもされないキーワードになるんじゃないかと思っています。
現時点で「DXで〇〇の業務を改革!」なんてプロジェクトがあった場合、DXというキーワードだけで飛びつかず、事業の将来性をシッカリと考えて、投資を行いたいです。
流行りもの(IPOの人気トレンド)は数年で変わっていきますので。
年 | 人気テーマ | 代表的なIPO |
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2021年 |
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2020年~ 2017年 |
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2016年~ 2014年 |
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2013年 |
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バイオ系(医療系)は2013年に流行りましたが、それ以降のIPOでは不人気に。
コロナ禍により、2020年~2022年のバイオ系はIPOでやや好調。トレンドは移り変わります。
ギフト券を配るようなところは避けておきたい
わたしは以前、株式投資型クラウドファンディングのプロジェクト案件を見て、ビックリしたことがあります。
出資した方には、株主優待としてAmazonギフト券を贈呈します。
・・・?
・・・・・!?!?
ウソでしょ・・・
熱心なスタートアップ企業は、開発!開発!開発!で、資金的にも時間的にも余裕がありません。
何故、クラウドファンディングで集めた資金を100%開発へ回さず、Amazonギフト券の発行を行っているのでしょうか?
Amazonギフト券を贈るには、ギフト券購入(資金のムダ)と送付手続(時間のムダ)が発生します。
株主優待は株式投資を行う個人投資家に人気があるので、邪推すると、個人を集める為のエサとしか思えませんし、まともな経営にはつながらないと個人的には判断します。
出資金の使い道が不透明な事業者に出資してはいけません!
カブスルの投資先と出資を決めたポイント
参考までに、株式投資歴18年、株式投資型クラファン歴1年のカブスルの投資先と出資を決めたポイントです。ちなみにすべて1口出資。
事業者 | プロジェクト名 | 出資ポイント |
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イークラウド | ラウンズ 音声コミュニケーションSaaS |
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FUNDINNO | 武蔵医研 在宅酸素療法患者向け酸素ボンベ管理ソリューション |
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FUNDINNO | Innovation Farm 次世代通信規格″LPWA″をプラットフォーム化 【FUNDINNO MARKET対応】 |
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CAMPFIRE Angels |
インターメディア研究所 「次世代二次元コード」でアナログと融合するIoT |
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会社は存続させ続けるだけでも大変なもの。
それをさらに成長させてEXITを目指すスタートアップ企業。
株式投資型クラウドファンディングへの出資の基本的な姿勢は「応援」です。