株式投資型クラウドファンディングとは?

株式投資型クラウドファンディング(ECF)とは、非上場のスタートアップ企業やベンチャー企業が、ネットを通じて多くの投資家から資金を集める仕組みです。

1社あたり5万円~10万円の出資で、未上場企業の株主に。
投資家は出資した金額に応じた非上場株式を受け取り、EXITによる売却益を期待します。

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日本では2017年にはじまった仕組みですが、2019年には約5.6億円の市場規模となっており、今後も成長が見込まれています。

スタートアップ企業は、世の中にない新しい価値を提供していることを目指していることが多く、公開されている案件を見るだけでも楽しいです。

株式投資型クラウドファンディングのメリット

株式投資型クラウドファンディングのメリットです。

  • 出資企業がEXITすることで大きなリターンに
  • 小額から投資可能(一社につき1年間に50万までが上限)
  • エンジェル税制対象企業に投資した場合は税制上の優遇措置を受けられる
  • 出資した企業の成長を共に感じることができる
  • 案件によっては社会問題や環境問題に取り組む企業に出資することで社会貢献につながる

自分が出資した企業の成長を共に楽しめることや、起業家の夢も共有することができ、将来的に取引所に上場した場合には、お金以上の喜びがあると想像します。

長期間、株主として企業に近いところで見守ることができ、企業によってはその間に株主優待を受けることができます。

スタートアップ企業に出資

株式投資型クラウドファンディング(ECF)のメリットは、スタートアップ企業に個人でも出資できることです。

スタートアップ企業とは、事業でイノベーション(新たな価値)を起こすようなビジネスモデルを開発し、IPOやM&AなどのEXITを目指す企業のことです。

  • 日本でいえば、メルカリ(2013年に創業し2018年にIPO)
  • 米国でいえば、GoogleやFacebookなど

ECFのプロジェクト一覧をみていただければ分かりますが、募集中のプロジェクトには「こんなサービスがあったらいい!」「将来性高そう!」「便利そうなので早く実現して欲しい!」などといった事業を展開しているスタートアップ企業が見受けられます。

  • スタートアップ企業は、創業時から上場やM&AなどのEXITを目指している企業
  • ベンチャー企業は、創業が新しい企業。スモールビジネスを展開

スタートアップ企業もベンチャー企業も創業が新しい企業ですが、スタートアップ企業は早めのEXITを目指しています。株式投資型クラウドファンディングではスタートアップ企業に投資しています。

出資企業がEXITすることで大きなリターンに

出資した企業が成長し、上場(IPO)や事業の売却を行う事で、投資家がリターンを得ます。

株式投資型クラウドファンディングに出資する投資家を、エンジェル投資家と呼びます。

また、出資先企業がゴール(出口)を迎えることを、EXIT(エグジット)と呼びます。

  • IPO(新規株式上場)
  • M&A(事業売却・買収)
  • 相対取引(他会社の株式の買取)

IPOやM&Aが実現すると、出資していた投資家は大きなリターンが期待できます。

株式投資型クラウドファンディングのEXITの種類
株式投資型クラウドファンディングはIPO(上場)でEXITが一番リターンの期待値が高い 株式投資型クラウドファンディングはM&Aによる事業売却もEXITのリターン期待値が高い 株式投資型クラウドファンディングは相対取引によるEXITもある 株式投資型クラウドファンディングは倒産による損失もあり

ハイリターンは、株式投資型クラウドファンディングの魅力のひとつ。
金商法改正まではVCや一部のエンジェル投資家しかスタートアップ企業に投資できませんでした。

各投資における期待リターン値。

  • エンジェル投資:10倍~1,000倍
  • 株式投資:1.5倍~3倍
  • 投資信託:3~10%

IPO(新規公開)については、姉妹サイトの庶民のIPOにて詳しく説明しています。

株式投資型クラウドファンディングは早い段階で出資できますので、公開価格より安い価格で株を入手できる可能性があります。

エンジェル税制対象企業に投資した場合は税制上の優遇措置を受けられる

エンジェル税制の対象となる企業に投資した場合、投資額に応じ所得税の優遇を受けることができます。

プロジェクトごとに、エンジェル税制AかBのどちらか、または両方が設定されていることがあります。

優遇措置A 優遇措置B
対象企業 設立5年未満の企業 設立10年未満の企業
控除対象 その年の総所得金額から控除 その年の株式譲渡益から控除 ※2
控除金額 投資額から2,000円を引いた金額 ※1 投資額全額 ※3
  • ※1 総所得金額×40%と800万円のいずれか低いほう
  • ※2 所得税の15%が対象。住民税の5%は対象外
  • ※3 上限なし。配当金も対象(申告分離選択時)

優遇措置Aの要件を満たす企業の場合、確定申告時に優遇措置Bを選択することも可能です。

株式投資の譲渡益によっては、優遇措置Bを選択した方が納税額が少なくなる場合があります。

エンジェル税制優遇措置Bは投資した時点で、損失とみなして株式譲渡益から控除できます。
株式投資などを行っている方には魅力的な控除です。(カブスルは株式投資がメイン)

IPOの可能性を秘めた次世代スタートアップ企業へ投資し、ハイリターンを期待できるだけでなく、税金の優遇措置を受けられるのが株式投資型クラウドファンディングです。

出資した企業の成長を共に感じることができる

最先端のテクノロジーを活用したプロダクト開発から、多くのファンを集めるものづくり、社会課題の解決に取り組む事業まで、将来性豊かなスタートアップを、エンジェル投資家として応援できます。

投資先企業がIR情報や事業進捗を定期配信。
企業の成長を身近に感じながら支援できます。

カブスルも投資している企業から近況報告(Letter)が届きました。

上場企業の開示と違い親近感があり、成長を感じることができます。
プラス材料とマイナス材料が書かれていますが、売却できないってところもいいのかもしれません。
(株式投資なら材料でスグに売買されるので)

投資先企業の中には、株主優待などの御礼品を用意している企業も。

投資家は通常、上場企業しかポートフォリオに組み込めませんが、未上場企業もポートフォリオに組み込むことが出来ます。

これまでのエンジェル投資は富裕層によるもので、1人で1社に対して数千万円の出資を行っていました。

株式投資型クラウドファンディングは5万円~10万円から投資が可能。
10万円を出資する投資家が100人集まれば1,000万円という大きな資金が集まり、創業間もない企業の事業資金となります。

株式投資型クラウドファンディングのデメリット

株式投資型クラウドファンディングのデメリット・リスクです。

  • 売りたいときに売れない流動性リスク
  • EXITまでに解散・倒産するリスク

主に2つの大きなデメリット・リスクがあると考えています。

売りたいときに売れない流動性リスク

非上場株式は好きなタイミングで売買できないという、大きなデメリットがあります。

株式投資の場合、決算をチェックし業績が悪かったり将来性に期待ができなければ、持っている株を市場を通じて売却できますが、株式投資型クラウドファンディングでは、購入した株の売買を自由なタイミングでできません。(流動性リスク)

株式投資型クラウドファンディングで取得した株式等を売却したいときは、ご自身で売却先を探さなければなりません。また、投資先の株主総会、取締役会又は取締役等の承認が必要な場合があります。

現状では、流動性リスクが株式投資型クラウドファンディングへの投資しづらさに繋がっています。

流動性リスクを改善しようと、未公開株を売買できるセカンダリーマーケットが株式会社FUNDINNOの運営で誕生しました。

デメリットがひとつ解消されることにより、株式投資型クラウドファンディングの投資人口はグッと増える可能性があります。また、保有している未公開株を売る機会が増えますので、投資家が利益を得る機会も多くなります。

カブスルが投資を行っているInnovation Farm株式会社もセカンダリーマーケットに追加されました。
購入したばかりで売るつもりはありませんが、EXITの選択肢が増えたことになります。

EXITまでに解散・倒産するリスク

購入した未公開株のEXITは、通常、数年から10年ほどかかる場合が多いです。

株式投資型クラウドファンディングに応募するスタートアップ企業の場合、その間に事業が上手くいかず、解散・倒産を迎えるリスクもあります。

倒産した場合、出資した資金は基本的に戻ってきません。

FUNDINNOにおける、EXIT件数と解散・倒産件数です。

資金調達年 EXIT 解散・倒産 存続
2020年 0件 0件 40件
2019年 2件 2件 23件
2018年 2件 1件 25件
2017年 1件 1件 12件

EXIT件数と解散・倒産件数がほぼ同一でまさに、ハイリスク・ハイリターンの投資となります。

プラットフォームで出資者を募る

投資家と企業をマッチングさせる役割をする会社として、プラットフォームがあります。

プラットフォームは、スタートアップ企業やベンチャー企業の事業内容や将来性、財務内容など厳正な審査をし、審査を通過した企業案件を自社のプラットフォーム上に公開。

出資してくれる投資家を募集します。

2021年9月の直近の事例ですと、FUNDINNOでスマホひとつで遺産整理から財産信託契約まで完結する相続DXのプロジェクトがありました。

目標金額1,250万円に対して上限の5,000万円が集まりました。投資した投資家は337人。

ファンディーノの誓約案件

大きな金額が集まるのも驚きですが、なにより出資する投資家が多く、企業と出資者を結びつけるプラットフォームとして機能していることが凄いです。

また、人気の案件は公開してから数分~数時間で上限金額に到達し、募集が終了することがあります。

発行企業は1年間に1億円、投資家は1社につき1年間に50万円が上限

株式投資型クラウドファンディングは、法令や日本証券業協会の自主規制規則により、下記が定められています。

  • 発行者(事業者)が資金調達できる額は、1年間に1億円未満。
  • 投資家が投資できる額は、同一の会社につき1年間に50万円以下。

発行企業が株式投資型クラウドファンディングで調達できる金額は1年間に1億円未満という上限があるため、創業間もないスタートアップ企業の利用が多くなるのも、株式投資型クラウドファンディングの特徴です。

投資は創業間もないステージの方が、投資金額が小さくなりますし、事業の成長を見守れます。(ただし、倒産するリスクも高い)

エンジェル投資は成功すれば三方よし

エンジェル投資は、EXITを期待しつつ応援したい企業に投資を行います。

売買ができないので、事業の成長を見守ります。
また、見守っているうちに応援の気持ちも強くなりがちに。

  • エンジェル投資家は、上場やM&Aが決まれば大きな利益に。
  • 出資先企業は、EXITにより大きな成長に。
  • 一般の人は、世の中に役立つサービスを受けられる可能性が。

・・と、EXITが成功すれば三方よしの結果となります。


株式投資型クラウドファンディングはハイリスクな面もありますが、ハイリターンを得られるチャンスと、通常ではできない体験をできる投資となります。

ちなみに、このサイトの執筆者であるカブスルは、株式投資型クラウドファンディングのサービス当初、毛嫌いしていました。

姉妹サイト「カブスル」にてCF Angelsさんにインタビューしてから、興味を持ち実際に投資することに。

同様に、株式投資型クラウドファンディングに疑問を持っている方は、当時、厳しめの質問をぶつけているのでご覧ください。今となっては・・・悪いことをしたと思っております。