FUNDINNO(ファンディーノ)にメールインタビュー。セカンダリーマーケットの今後のお話も
FUNDINNO(ファンディーノ)は、日本初の株式投資型クラウドファンディングサービスのプラットフォームです。

EXIT実績もあり、2021年12月8日からはじまるセカンダリーマーケットにより、一層 注目度が高まっているFUNDINNOさんに、投資家目線でいろいろ聞いてみました。
質問者:カブスル

2004年から株式投資をはじめた中堅投資家で、EXITのひとつであるIPOにも詳しいです。
2021年から株式投資型クラウドファンディングへの投資も開始。
投資前はクラウドファンディングに否定的でしたが、いまや応援する立場に。
※返答内容の「太字・色字」はカブスルが装飾しています。

ご返答者:
株式会社FUNDINNO
代表取締役CEO 柴原 祐喜様
- 2009年カリフォルニア大学卒業。
- 2012年明治大学大学院グローバルビジネス研究科修了。
- 日本のスタートアップ環境を盛り上げていきたいとの思いで共同代表の大浦とともに、2015年 株式会社FUNDINNOを設立。
- 代表取締役CEOに就任。
- 日本初の第一種少額電子募集取扱業として、株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO」を開始する。
- 2021年12月にはネットで売買できる未上場株式マーケット「FUNDINNO MARKET」を開始。
2021年12月に実施させて頂いたインタビュー記事です。ご返答の内容は当時のもの。
FUNDINNOについて

株式投資型クラウドファンディングをサービス展開している企業はいくつかありますが、FUNDINNOさんの特徴と強みを教えて下さい。

柴原様
弊社の一番の強みは、今までに積み上げてきた案件数という実績だと考えています。
プラットフォームを選ぶ際、企業様も実績数が多いことで安心いただけることもあると思いますし、掲載案件数が多くなれば投資家様も自分の好きな案件を「選んで」投資できる、というメリットが生まれますので企業目線・投資家目線ともに大事な点だと思います。
また、12月8日からFUNDINNO MARKETをサービス開始することで、投資家様には保有株の流動性を、企業様にとっては新たな資金調達の手段を提供することができる、という点も強みにしていきたいと考えています。

御社のユーザー層(投資家)について教えて下さい。
また、投資家登録の推移についても開示できるようであれば教えて下さい。

柴原様
現状、約85%が男性、約15%が女性で、年代は30代~50代で約85%を占めています。
職種で言うと投資専業の方だけではなく、会社員の方が半数を占めております。
ユーザー数は2021年11月現在で約8万名となっています。

御社が上場(IPO)する可能性は、数年のうちにありますでしょうか?
TVCMも最近はよく見かけますので、個人的に怪しんでおります(笑)

柴原様
当社も外部の投資家の皆様より出資いただいておりますので、IPOといったEXITは視野にいれております。
その一方でベンチャー投資という新しい事業の開拓に注力する必要もあり、バランスを見た上でのタイミングになるかと思います。
- カブスルのひとこと -
FUNDINNOさんは、日本初の株式投資型クラウドファンディングサービスのプラットフォーム。2017年4月にサービス開始。
実は・・・姉妹サイト「カブスル」で、サービス開始当初、紹介してくれませんか?と代理店を通して話があったんですが、当時は株式投資型クラウドファンディング(ECF)の情報がほぼなく、またFUNDINNOさんのメディア自体にも情報が少なく、お断りさせて頂きました。
いまやCMの通り、「ベンチャー企業に投資する~のファンディーノ♪ベンチャー企業を応援する~のファンディーノ♪」の通り、業界の取扱実績No1で、EXIT実績もある事業者です。
上場の噂を耳にすることもあり、2021年12月にはセカンダリーマーケットも誕生予定であり、今後が非常に楽しみです!
株式投資型クラウドファンディングについて

株式投資型クラウドファンディングを利用する投資家のメリットには、どのようなものがあるでしょうか?

柴原様
投資家様のメリットとしては大きく分けて4つございます。
- 約10万円からベンチャー企業の株主になれる
- 投資先がIPOやバイアウトとなった場合、リターンが期待できる
- 節税対策として、エンジェル税制が適用できる案件もある
- ベンチャー企業の経営に投資家として携われる

株式投資型クラウドファンディングのデメリットとして聞く話に、「名簿に乗る投資家が多くなる」という話を聞きます。
これには反社やワケのわからない投資家がいることでEXITの障壁になるという意味合いで目にしましたが、実際どうなのでしょうか?

柴原様
FUNDINNOでは投資家登録の際に反社チェックを行っているため、上場の際にそのような懸念が障壁になる可能性は低いと考えています。
琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社様が東証のTOKYO PRO Marketに上場されている事が、株主様が多いため上場できない、という事実が異なる事を示しているのではないでしょうか。
投資家数に関しても、上場に関しては一定数の株主がいないと上場できない(東証一部の上場要件で株主数2200人以上必要)ので、人数自体が障壁なのではなく、人数が多いことによるコミュニケーションコストを懸念した意見ではないかと考えております。
- カブスルのひとこと -
実際にTOKYO PRO Marketへの上場(EXIT)となった、琉球アスティーダスポーツクラブの例があるということで、非常に納得がいきました。
カブスルが株式投資型クラウドファンディングに実際に投資をはじめたのは、2021年11月と最近のこと。
悪い噂話をよく耳にして投資を敬遠していた面もあるんですが、現在はわりと正しく理解できてきたかな?と思っております。下記の記事にてメリットとデメリットを紹介。
プロジェクトについて

FUNDINNOさんが取り扱っているプロジェクトの「EXIT件数」「解散・倒産件数」「存続件数」をそれぞれ教えて下さい。

柴原様
2021年11月現在で、EXITや投資回収件数が7件、解散・倒産件数が5件、存続会社が約170社となっています。

EXIT実績もしっかりとだされているFUNDINNOさん。
次に期待させていただきたいのは、東証マザーズなど個人投資家が活発に取引できる市場ですが、これらのEXIT事例の誕生はいつ頃になりそうでしょうか?

柴原様
東証へのEXITという繰りでは、既に琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社様がTOKYO PRO Marketに上場され、かつ今後の鞍替えも目指されています。
その他にも東証マザーズへの上場に向けて準備を進められている会社様もいらっしゃるので、数年以内にそのようなEXITが発生するのではないかと期待しております。

プロジェクトを組成しているチームは何名でしょうか?

柴原様
ひとつの案件に対し1名営業担当がいるのはもちろんですが、その他にも審査担当2~3名、募集ページ作成のクリエイティブ担当1~2名、外部協力会社の公認会計士の方1~2名が案件ごとにチームとして審査~募集まで行っております。
その他にもメールのご案内といった制作にも複数人に関わっております。
また、最終審査に関しては上記に加え内部管理統括責任者、広告審査部長、コンプライアンス部長の全会一致が必要になるため、各員も関わる形となります。

事業者や現在の事業内容のチェックなどはされていると思いますが、成長戦略(マイルストーン)にはチェックがはいっているのでしょうか?
もちろん、目標であり将来予想が難しいのは理解しておりますが、御社・他社問わず、キレイな成長戦略なのでいつも気になっております。

柴原様
マイルストーンについては企業様よりいただいた事業計画を弊社側でチェックしてそのまま募集ページに反映するのではなく、審査過程の中で複数回MTGを実施し、企業様に事業計画に必要な情報のヒアリングを行いながら、外部協力の公認会計士の方と共に新たに作り上げていく流れになっております。

株式投資型クラウドファンディングでは、バイオベンチャーのプロジェクトが多いイメージがあります。
バイオベンチャーは、開発資金の資金調達が必要な事業であり、多くの投資家がプロジェクトに賛同し出資することで応援できるので、まさにECFには向いていると思います。
バイオベンチャーのプロジェクトが次々に成立していくためには、何が必要だと考えておられますか?

柴原様
バイオベンチャーなどは研究開発に時間がかかり、結果、事業として収益が発生するまでにはさらに時間がかかります。
このリスクをご認識いただいた上で、事業に共感いただく投資家の皆様の賛同が必要だと考えております。
また、案件の成立ではなく事業の成功と考えた場合、より多くの資金が集まる事が必要だと思いますので、1つの手段として株式投資型クラウドファンディングの規制である、一社あたり年間1億円の上限が緩和されることも重要ではないかと考えております。

不成立となった事業者へのフォローはどのようになっていますでしょうか?
また、再開する可能性もあるのでしょうか?(最低金額を落としてなど)

柴原様
残念ながら不成立になってしまった企業様には、その他の投資家の皆様のご紹介を実施しております。
また、募集金額に関しては、事業計画を立てた上で必要な金額を基に算出しておりますので、募集金額自体を落とすというよりは、事業計画を見直して、募集金額を変える検討ができないかなどは協議させていただいております。

まだ募集に至っていない案件は、常時どれくらい抱えているのでしょうか?

柴原様
現在は毎月常に10案件以上の開示が目安となっておりまして、そこから逆算して募集に至るまでの過程で案件化が見送りになってしまう案件数は、常に倍以上の数がございます。
- カブスルのひとこと -
プロジェクトやEXITについては気になるところですので質問を多めに用意させて頂きましたが、すべて真摯にお答えいただけました。
EXITについては、EXIT案件が7社、存続会社も170社ということで今後に期待できそうですね。
また、東証マザーズへの上場を視野にいれている企業もあるということで楽しみにしたいと思います。
個人的にはバイオベンチャーに関するご返答がとても参考になりました。
ECFに向いているバイオベンチャーの成功には規制の緩和も必要ということですね。
勉強になりました。
セカンダリーマーケットについて

株式投資型クラウドファンディングの大きなデメリットのひとつである「流動性」。
売りたい時に売れないというリスクを改善するため、未公開株を売買できるセカンダリーマーケットが御社でまもなくサービス開始予定かと思います。
現時点では情報が少ないですが、「取引時間」「板寄せ方式」「予測する一日の流動量」「値幅制限のありなし」など、なにか公開できる情報はありますでしょうか?

柴原様
おそらく個人投資家の方にとっては上場株との比較が分かりやすいのかなと思います。
下記の表をご確認いただけますと幸いです。


セカンダリーマーケットは3社からはじめて、徐々に増やしていくという記事を読みました。
増やしていくにあたり次の候補には、公開できる基準がありますでしょうか?
また、今後は出資前からセカンダリーマーケット対象かどうかを知ることができるようになっていく予定でしょうか?

柴原様
今回 4社からのスタートになりそうです。
公開される企業様はFUNDINNOをご利用してくださったとしても、当社の審査が新たに必要になります。
セカンダリーマーケットの利用を主目的に検討される企業様も増えており、実際 FUNDINNO利用企業様以外の企業様の利用も早期に実現が予定されております。
皆様がご存知の未上場企業様の利用もあるかもしれません。

株式投資型クラウドファンディングは応援の意味合いが強いクラウドファンディングだと思います。
セカンダリーマーケットで未公開株が売買されると、参入してくる投資家が増える一方で、未公開株の価格が荒れるんじゃないか?と心配しておりますが、どのように考えておられるでしょうか?

柴原様
マーケット自体の安定運用も鑑みて、当初は先述の通り4社と銘柄数も抑えた形で運営して参ります。
また指値のみの相対取引であることから、価格についての大きな動きが抑止されると考えております。
- カブスルのひとこと -
セカンダリーマーケット、楽しみですね(  ̄∇ ̄)
インタビューを実施したのは、セカンダリーマーケットが始まる前です。
最初は4社の予定、上場株との比較、知っている未上場企業も利用?など、これまでに耳にしていない情報もいただき非常に楽しみになってきました!
個人的には価格が荒れるのを心配していたんですが、そういった面も考慮し制度設計されているようです。
その他の質問

岸田政権が先日誕生しましたが、自民党総裁選の最中、TV番組で次の成長戦略に「スタートアップ」とフリップに書かれておられました。(分野などは言及せず)
これについて、なにか思うことはありますでしょうか?

柴原様
日本のスタートアップ投資は欧米とは大きな格差があります。
ユニコーン企業の排出自体ももちろんのことですが、そもそも起業が進み、世の中に新たな価値を生み出す挑戦が応援される世界になることを望んでいます。
私たちのビジョンである「フェアに挑戦できる、未来を創る」ためにも国の支援を期待したいです。
カブクモをご覧のみなさんへ一言

株式投資型クラウドファンディングに興味を持っている方に一言お願いします。

柴原様
株式投資型クラウドファンディングにご興味のある方はぜひ一度、FUNDINNOのサイトをご覧になってみてください。
現在開示中・募集中の案件に加え、今までに募集を行った約300の企業が掲載されています。
最初から「投資先を選ぶ」という観点ではなく、新しい世界を創ることにチャレンジするベンチャー企業自体に興味を持っていただければと思います。

株式投資型クラウドファンディングに対して否定的な考えを持っている方に一言お願いします。

柴原様
長い金融史において、株式投資型クラウドファンディングが新しい仕組みであることは間違いありません。
新しい仕組みであり、特にお金が絡むことにおいてはいろいろな意見がでてくると思います。
私たちは様々な意見があることはよいことだと考えています。
「フェアに挑戦できる、未来を創る」というビジョンを軸に、起業家の挑戦に多様な選択肢を提供し、投資家の応援を起業家へと届けることで、投資家の皆様にとっても起業家の皆様にとっても、資金調達・投資の手段として当たり前の選択肢の1つになる事を望んでいます。

このインタビューをご覧いただいている初心者の方へ、最後にひとことがあればお願いします。

柴原様
新たな価値を生み出す可能性があり、志をもつ起業家をぜひ一緒に応援いただきたいです。
一方で皆様がお考えのように、上場企業と比べて倒産・解散リスクも高いのも事実です。
また、株式の流動性を気にされている方もいらっしゃるかと思いますが、弊社はセカンダリーマーケットを新設し、そのような懸念を解決していきたいと考えています。
このようなリスクを把握した上で、ご自身が応援したいと思える企業を見つけるために、ぜひまずはFUNDINNOのサイトをご覧になってください。
- カブスルのひとこと -
EXIT実績もあるFUNDINNOさんが最後に、「倒産・解散リスクも高いのも事実」と書かれているのは、とても誠実的だなぁと思います。
インタビュー全体を通しても、用意した質問すべてに真摯にご返答頂き、感謝しております。
ベンチャー企業を応援するという想いが随所に表れていたご返答内容だったと思います。
最後にかかれていた通り、FUNDENNOのWebサイトを見て、プロジェクトを募集しているベンチャー企業さんの「事業内容」や「解決する課題」をご覧になってみてください。きっと応援したくなる事業様も見つかるんじゃないかと思います。
この度はお忙しい中、インタビューにご返答頂きありがとうございました。