株式投資型クラウドファンディングのEXIT実績

株式投資型クラウドファンディングのEXIT実績です。

EXITに期待できるリターンを3つ星で表すと、

  • セカンダリーマーケット・・・
  • IPO(新規株式上場)・・・
  • M&A(事業売却・買収)・・・
  • 相対取引(他会社の株式の買取)・・・

このようなリターン期待値となり、上場企業を目指すIPOが一番大きなリターンを期待できます。

セカンダリーマーケットで売却

ECFのセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」は、運営会社のファンディーノが財務や法令順守状況などを審査し、そちらを通過した企業に取り扱いが限定されています。

2023年9月15日時点で対象の企業は7社
9月15日時点での株主コミュニティの参加者は24名~2,113名。

取引実績

取引実績をみると活発に取引されている企業も見受けられます。

なかでもロジック・アンド・デザインは、最大で10.4倍の価格で売却されています。

  • ロジック・アンド・デザイン(最大10.4倍)
    1. 最初の募集価格が1株10,000円(2018年11月に募集)
    2. 2020年10月に26株に株式分割(1株あたり384.6円に)
    3. 4,000円でセカンダリーマーケットで売却(2022.5.25に売買)
  • Innovation Farrm(最大4倍)
    1. 最初の募集価格が1株5,000円(2019年9月に募集)
    2. 20,000円でセカンダリーマーケットで売却(2022.4.25に売買)
  • ハーバルアイ(最大2.4倍)
    1. 最初の募集価格が1株125円(2020年5月に募集)
    2. 300円でセカンダリーマーケットで売却(2022.5.26に売買)

IPOと比較すると大きな利益は期待できませんが、換金のスピードは早くなります。

ECFのセカンダリーマーケットは、売り手は希望価格で売却でき、買い手もさらなる将来性を見据え購入できる、良い仕組みです。詳しくは参考記事にて。

IPOのEXIT事例

株式投資型クラウドファンディングはIPO(上場)でEXITが一番リターンの期待値が高い

IPO(新規上場)のEXIT事例です。

株式投資型クラウドファンディングは未上場企業に早い段階で出資。
IPOの公開価格より安い価格で株を入手できる可能性があります。


事業者 IPO数
FUNDINNO 1社

IPOにいたるまでは一般的に5年以上かかるとも。
今後、業績を着実に伸ばした未上場企業が、IPOに到達する可能性があります。

2017年4月にFUNDINNOが日本でサービスを開始

【IPO】琉球アスティーダスポーツクラブ

琉球アスティーダスポーツクラブ株式会は、プロ卓球リーグ「Tリーグ」に所属するクラブチーム運営。

  • FUNDINNO案件
  • 2019年に募集。出資した投資家は151人。
  • 2021年にTOKYO PRO Marketへ上場(IPO)

株式投資型クラウドファンディング、初のIPOとなりました!
また、募集開始から1年3ヶ月と早い上場に。

TOKYO PRO Marketは機関投資家向けの市場で、一般の個人投資家は売買できません。
(上場前の個人株主は売却できる)

TOKYO PRO Marketは、他の東証市場に比べていくつかの審査基準のハードルが下げられ、上場しやすい市場という特徴があります。

TOKYO PRO Market市場から、一般投資家が売買できる東証マザーズなどへ市場変更する場合もあり。

グリーンシート経由では19社が上場

株式投資型クラウドファンディングの前身の制度である、グリーンシート経由では19社が上場しています。未公開株の取得価格より大きなリターンに。

なお、グリーンシートでも制度が発足してから最初の上場が実現するまで5年程度を要しています。

株式投資型クラウドファンディングも時期的に、2022年以降にIPOまで到達できるスタートアップがでてくることに期待したいです。

グリーンシートとは、日本証券業協会が1997年7月からスタートさせた制度。(2018年3月末で廃止)

M&AのEXIT事例

株式投資型クラウドファンディングはM&Aによる事業売却もEXITのリターン期待値が高い

M&A件数は、経済産業省が発表したデータによると2019年で4,088件。2020年はコロナ禍にあり、やや減少して3,730件。

M&Aを行う買い手企業のメリットは、時間をお金で買えること。
買収により、成長にかかる時間が短縮できます。

事業拡大を目指した買い手企業による、M&Aに期待。

投資後、M&Aにいたるまでは一般的に2年以上かかると言われています。

創薬ベンチャーのEXITは、ほぼ大手製薬会社へのM&Aへ。

Next Paradigmが約9か月で2.7倍のリターンに

イークラウドで募集していたNext Paradigmが、投資から約9ヶ月で2.7倍のリターンに!

社名は公表されていませんでしたが、上場企業であるセレスの2022年12月期 第1四半期報告書に、全株式を取得し子会社化したと掲載されています。

サービス開始時期が2020年7月と新しくまだ11社しか取り扱っていない中で、1社のM&Aが成立したというのは、やはりイークラウドならではの強みが発揮されたのかなと思います。

また、これまで業界大手のFUNDINNO以外にEXIT実績がなかったので、ECF界にとって大きな成功例となりそうです。

Innovation Farmが約3年で1.1倍~4.4倍のリターンに

FUNDINNOで募集していたInnovation Farmが、あい ホールディングス株式会社(東証プライム上場:3076)の子会社に。

投資から約7ヵ月で1.1倍、約3年で4.4倍のリターンに!

Innovation Farmは二回 ECFの募集をしており、一回目(2019年9月)に参加した方は4.4倍のリターン、二回目(2021年12月)に参加した方は1.1倍のリターンに。

カブスルも二回目から出資していた企業。
IPOを狙っていましたが、企業戦略により上場企業の子会社となりました。(少し残念)

相対取引のEXIT事例

株式投資型クラウドファンディングは相対取引によるEXITもある

相対取引のEXIT事例です。

なお、こちらでは公表されている事例のみ紹介しています。

【相対取引】漢方生薬研究所(医薬品ネット販売)

漢方生薬研究所(現:ハーバルアイ)は、医薬品のネット販売を行っている企業です。

株式投資型クラウドファンディングで日本初のEXIT事例に!

  • FUNDINNO案件
  • 2017年12月に募集。出資した投資家は457人。
  • 2019年、法人による相対取引によりEXIT。
  • 1株500円が750円で買い付け。株価は1.5倍に

1年5ヵ月で1.5倍の価格となり、投資としては充分な実績となりました。

【相対取引】nommoc(無料タクシー)

nommoc(ノモック)は、スマホアプリで配車し、目的地まで無料で乗れるサービスです。

  • FUNDINNO案件
  • 2018年6月に募集。出資した投資家は254人。
  • 2020年、法人による相対取引によりEXIT。
  • 1株50円が75円で買い付け。株価は1.5倍に

1年9ヵ月で1.5倍の価格となり、投資としては充分な実績となりました。

なお、FUNDINNOによると、相対取引に応じたエンジェル投資家は80名だったようです。(買取金額の上限設定あり)

非公開の相対取引によるEXIT事例

社名が公表されていませんが、下記の相対取引によるEXIT事例も発生しています。

  • O社:1年3カ月で募集株価の1.2倍の価格に。
  • F社:2年11カ月で募集株価の1.3倍の価格に。

いずれも、FUNDINNOが取り扱っている案件となります。

解散・倒産もある

株式投資型クラウドファンディングは倒産による損失もあり

投資家がリターンを得るEXITは上記で紹介しましたが、解散や倒産という投資家にとって損失となる場合もあります。(EXITとは呼ばないんですが)

EXITを想定してスタートアップにエンジェル投資している会社でも、成功する確率は1/100社という前提で出資しているようです。


そんな低確率でもスタートアップにエンジェル投資する理由としては、10倍~1,000倍という桁違いのハイリターンが期待できるからです。また、投資先の目利きにより、その確率も上げられます。

FUNDINNOにおける、EXIT件数と解散・倒産件数です。

資金調達年 EXIT 解散・倒産 存続
2022年
5月まで
不明 4件 不明
2021年 不明 3件 不明
2020年 0件 2件 40件
2019年 2件 1件 23件
2018年 2件 0件 25件
2017年 1件 0件 12件

EXIT件数と解散・倒産件数がほぼ同一でまさに、ハイリスク・ハイリターンの投資となります。

社名 解散・倒産 資金調達
SKR 2022年9月
法人破産
2019年12月:7,070万円
2018年6月:5,000万円
2017年9月:3,300万円
SameSky 2021年5月
法人破産
2019年3月:1,630万円
MU 2020年10月
会社解散
2019年11月:2,240万円
ユニボット 2020年2月
破産手続き
2018年9月:6,552万円

参考までに、スタートアップの撤退事由です。

  • 市場が存在しなかった
  • 資金が枯渇した
  • チームが適切でなかった
  • 競争に負けた
  • 価格と費用の課題
  • プロダクトが顧客に好まれなかった
  • 収益モデルが生み出せなかった
  • マーケティングの機能不全
  • 顧客の声を無視
  • コンセプトが新し(古)すぎた

STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したかより。